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【記者体験】数十センチの津波 その威力とは

防災シリーズ「命を守る」。

きょうは津波について考えます。

先週末フィリピン沖で起きた大地震に伴い、日本の太平洋沿岸の広い範囲に津波注意報が出されました。

実際に数十センチの津波が観測されましたが、この数十センチの津波とはどれくらいの威力なのか、STVの記者が体験してきました。

東京都にある中央大学。

訪ねたのは波の仕組みなどを研究している有川研究室です。

実験室には長さ10メートルの巨大な水槽が設置され、この中に人が入って津波の威力を分析します。

まずは30センチ程度の高さの想定です。

(根本記者)「耳で聞くよりもはるかに多くの水が流れてきたという印象でした。綱に捕まっていないと体が流されてしまうという勢いだったのですが、体が完全に横になってしまうほどではなく、何とか顔を水から出していられるという勢いでした」

続いて50センチ程度の想定です。

(根本記者)「1回目の30センチ程度というのと比べて、数字だけでいえばそんなに変わっていないようにも聞こえるのですが、感じる津波の勢いは倍を超えるようなものすごい勢いの衝撃となりました」

(中央大学理工学部 有川太郎教授)「20~30センチくらいでも軽い人なら十分流れてしまうような力があるのですが、50センチを超えてくるとその3~4倍くらいの力があるので、そうすると成人男性でも流されてしまう。たかだか数十センチと思わずに、十分に人を流すような力があると思ってほしい」

このように、数十センチ程度の津波でも大人が流されるような威力があることがわかったわけですが、これを海に囲まれた北海道の防災に置き換えて考えてみましょう。

主に3つの地域に分けて考えることができます。

太平洋側では日本海溝や千島海溝を震源とする超巨大地震の可能性が指摘されていて、20メートルを超えるようなとにかく「高い津波」が襲ってくるといわれています。

また、日本海側は奥尻島が甚大な被害を受けた30年前の南西沖地震のように「早くて高い津波」となる傾向があると指摘されています。

(2023年12月7日放送)
「STVニュース」  6/26(水)15:06更新