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【胆振東部地震】発生から5年 日頃の防災とは?

きょうは防災の日です。

関東大震災から100年の節目を迎え、北海道内では土砂崩れで甚大な被害を出した胆振東部地震からもうすぐ5年が経ちます。

最近の研究で、大規模な土砂崩れが発生したメカニズムがわかってきました。

胆振地方は2018年、大きな災害に見舞われました。

道内で初めて震度7を観測した胆振東部地震で、あわせて44人が命を失いました。

その被害を大きくしたのが土砂崩れです。

(久保アナウンサー)「大規模な土砂崩れが起きています。住宅が押し流されています」

あれから5年。

(根本記者)「厚真町内のいたるところでは、いまでもあのように山肌が崩れたところが残ったままです。こうした地層を調べることから新たな事実がわかってきました」

地震発生以来研究を続けている室蘭工業大学の木幡行宏教授です。

これまでの研究から明らかになったのは—

(室蘭工業大学 木幡行宏教授)「地層としてはこのTa-dが一番古くてそこからdcbaというふうになっている。それぞれで年代がある程度特定されているんですけれど。9000年前に降り積もったものがいま崩れたということなので、9000年の間今回よりも大きな地震がいままでなかった」

さらに、広大な面積で山の斜面が崩れた要因についてはー

(室蘭工業大学 木幡行宏教授)「(地震発生の)2~3日前に雨が降ったので、その雨が悪さをして広範囲に地滑りが起きたのではないかといわれていたが、実はそうではなくて、もともと(地層の)粒子に結構水が含まれていた影響の方が大きかったのではないか」

木幡教授によると、火山灰でできた地層が、直前に降った雨とは関係なく大量の水を含んでいて、地層の境目が地震の衝撃で液状化したため、大規模な土砂崩れにつながったということです。

厚真町はこの研究結果を受け止め、教訓をほかの地域に共有していく考えを示しました。

(厚真町 宮坂尚市朗町長)「9000年で初めて起きた大地震を体験した町として、全国に我々の経験を伝えていきたい」

胆振東部地震で震度5強を記録した苫小牧市です。

大地震や津波の被害が想定される中、防災への意識を高めてもらおうと、避難所体験会が開かれました。

簡易トイレの組み立てにガスの力で動く発電機など、会場には災害時に活躍するグッズが並びます。

(根本記者)「こちらは段ボールベッド。座ってみると意外と頑丈。カーテンもあってプライバシーが守られている」

中でも多くの人が集まっていたのが—

(子ども)「おいしい」

非常食の試食コーナーです。

こちらは特殊な加工により水さえあれば食べられる五目ご飯で、試食した人からは驚きの声が聞かれました。

(参加者)「もっと素朴な味なのかなとか食べづらかったりするのかなと思ったが、普段の食事と変わらない味付けで非常に満足」

さらに、多くの外国人が参加していたのも特徴です。

苫小牧市ではここ10年、技能実習生などの外国人の数が急増。

高い津波が到達する可能性が指摘されるなか、日本語がわからない人が災害に巻き込まれるリスクが高まっています。

(根本記者)「地震はどういうイメージですか?」

(ベトナム人)「怖い…」

空港にもほど近く、胆振地方最大の都市だからこそ抱える課題があるのです。

(北海道多文化共生NET 五十嵐啓子代表理事)「苫小牧は(外国人)就労者が非常に多い。(胆振地方)1市4町の中核を担う、苫小牧がそういうマチなので、周辺自治体ではできないことを苫小牧が中心となってやる役割がある」

そしてきょう、苫小牧市の小学校ではSTVアナウンサーによる出前授業が開かれました。

(大家アナウンサー)「ここの後ろに手を置いてちっちゃくなる、このお団子ポーズを知っていれば体を守ることができます」

子どもたちが学んでいるのは、落ちてきたものから首の後ろを守る「お団子ポーズ」。

出前授業は、大きな地震が起きたときにけがをしないでほかの人を守ることができる「防災リーダー」を育てることが狙いです。

(宮永キャスター)「地上で地面が揺れたら海の中でも地面が揺れて津波がやってくるということを覚えておいてください」

(大家アナウンサー)「これでみんなも?」

(子どもたち)「防災リーダー!」

(出席した児童)「地震がいつ来るからわからないから、家でおだんごポーズを家族に教えたり防災の準備をしたいです」

これから起こる可能性がある大災害から命を守るために。

身近な場所の危険を理解し、日頃から防災意識を高めることが大切です。

(2023年9月1日放送)
「STVニュース」  9/8(金)9:53更新