7年ぶり「模擬坑道」見学再開へ スプリンクラーやガス検知器など防火対策 夕張市の石炭博物館
北海道の炭鉱の歴史を後世に伝える夕張市の石炭博物館。
その中核施設である「模擬坑道」の見学が7年ぶりに再開することになりました。
炭鉱遺産の待望の再開に、入館者増加への期待が高まっています。
とろみのあるカレーをそばにかけた、夕張名物「カレーそば」。
かつて夕張の炭鉱マンを支えたスタミナ食です。
この店は、カレーそばで観光客を惹きつけ、夕張を盛り上げたいと3年前にオープンしました。
(カレーそば旭 中山利広代表)「スキー場が3月いっぱいで(今シーズンは)終わっちゃったので、あとは歴史村に期待しています」
集客に期待がかかる夕張市の石炭博物館です。
マネキンを使ったジオラマや実際に使われていた機械などが展示されています。
施設の最大のうりである「模擬坑道」がリニューアルされ、4月5日にメディア向けに公開されました。
全長およそ180メートル・地下およそ20メートルの深さで、実際に石炭を採掘していた本物の坑道です。
(夕張市石炭博物館 石川成昭館長)「いま見えているこれがずばり石炭層で。こうやって触れる場所は日本の模擬坑道でもここだけです」
実際に記者も触ってみると…
(藤得記者)「思った以上にごつごつしていて、肌で石炭を感じることができます」
じつは、この模擬坑道の公開は7年ぶりです。
長らく閉鎖が続いたのには理由がありました。
(吉田カメラマン)「坑道から白煙が立ち上り、消火活動が続いています」
2019年に発生した坑道内での火災です。
蓄熱性が高い石炭が燃えたため消火活動は難航。
半月近く坑道内に水を入れ、火は消し止められましたが、坑道内は焼け、水没しました。
かつて北海道随一の炭鉱のマチとして栄えた夕張。
その歩みを記録し伝えようと、1980年に石炭博物館は作られました。
施設の入館者数は2018年に3万人を超えましたが、その翌年の火災で中核施設の模擬坑道を失い、コロナ禍の影響もあって一時火災前の半分を下回る1万人程度まで落ち込みました。
(夕張市石炭博物館 石川成昭館長)「(火災は)ショックという以上の何物でもありませんでしたね」
総事業費6億5千万円をかけて復活を果たした模擬坑道。
スプリンクラーやガス検知器など防火対策を強化して、いよいよ一般公開が再開されることになりました。
市民や観光客も心待ちにしています。
(観光客)「わたしこのマチがすごく好きなので、人が増えるならすごい嬉しいことだと思います」
(夕張市民)「やっぱり(炭鉱を)知らない方が多いと思うので。昔こういう生活があったということは覚えていてほしいなと思う」
(夕張市石炭博物館 石川成昭館長)「石炭産業とそれが日本に果たした大きな役割、そういうのを含めて夕張の重要性や模擬坑道の面白さをどんどんアピールしていこうと」
夕張市石炭博物館「模擬坑道」の一般公開は4月19日から始まります。
これからの観光シーズン、かつて炭鉱で栄えた街並みも歩いてみるなど、夕張の歴史を感じる旅も楽しめそうです。