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【命を守る】都市部で災害が起きたら…

人口およそ200万人の大都市・札幌。
もうすぐ5年を迎える胆振東部地震では、全道停電・ブラックアウトに見舞われました。
大地震などの災害は都市部でも常に危険と隣り合わせです。
きょうは都市部で「命を守る行動」について考えます。

札幌中心部の大通公園で先週実施された、弾道ミサイル発射を想定した住民避難訓練です。

(樋口記者)「ミサイルの発射を知らせるJアラートが鳴り、大通公園にいた人たちは一斉に地下街へ避難しました」

まちなかに多くの住民や外国人観光客がいることを想定し、およそ60人が参加。

札幌市で実施されるのは初めてで、地下に避難した参加者は、市が指定した「緊急避難施設」で、しゃがんで頭を守る姿勢をとるなどしました。

(参加者)「結構みんな(J)アラートが鳴ってもびっくりしないじゃないですか。訓練とかがあると、もしかしたらという気持ちになれて良かったのかなと思いました」

ことしに入って繰り返される北朝鮮の弾道ミサイル発射。

4月には北海道付近に落下する可能性があるとして、朝の通勤時間帯にJアラートが発出されました。

道内でのJアラート発出は4回目です。

(宮崎記者)「午前8時すぎの地下鉄大通駅です。現在、全線で運転見合わせが続いています」

地下鉄は全線運転見合わせにー

通勤や通学時間帯の札幌中心部に混乱が広がりました。

都市部で弾道ミサイルから身を守るポイントは、爆風を回避することだといいます。

今回の訓練では、地下への避難とあわせて屋外で身を守る人たちも。

(札幌市 桜井英文 危機管理監)「屋外にいる場合につきましては、物かげに身を隠し頭を守る。屋内にいる場合には窓から離れる、もしくは窓のない部屋に避難するということになると思います。地震が起きる、もしくはJアラートが鳴るという場合に、どう市民の生命と財産を守っていくのかということをこれから基本に考えていきたい」

2018年9月に起きた胆振東部地震では、札幌市内の広い範囲で震度5弱以上の強い揺れに見舞われたほか、ブラックアウトが発生。

多くの人が暗闇のなかを歩くなど都市機能がまひしました。

(樋口記者)「札幌駅を含めたこの都心部の大地震の想定可能性はいかがでしょうか」

(札幌市危機管理課 三好俊也 防災推進担当課長)「都心近辺では、札幌市の中で一番被害が多いと予想されている月寒断層地震というのがあるんですけれども、その中で最大の震度として6弱以上の揺れが見込まれています」

札幌市のハザードマップでも、札幌駅の周辺で震度6弱から震度7の大きな揺れが起きる可能性があると示されています。

(札幌市危機管理課 三好俊也 防災推進担当課長)「特にビルが乱立しておりますので、ビルの看板やガラスが割れて飛散して落下してきますので、注意が必要になります」

また、突然の揺れに慌てて道路に飛び出さない。

ブロック塀や自動販売機などの「転倒物」、さらに冬は建物からの落雪にも注意が必要だといいます。

一方、胆振東部地震の5か月後に起きた地震では、札幌市北区で震度5弱を観測。

市営地下鉄が開業以来初めて全線で運行を停止しました。

市内中心部は帰宅できない人であふれ、駅や地下歩行空間で夜を明かす人も…

(札幌市危機管理課 三好俊也 防災推進担当課長)「家が近くの方で歩いて帰宅できる方においても、少し時間をずらして帰宅してもらうとか、職場帰りの方は、いったん職場のほうに戻っていただいて、少し様子を見てもらうとかですね。あとは家が遠くて徒歩で帰れない方や観光客の方などは、それぞれの施設管理者が開設する一時滞在場所がございますので、そちらのほうに避難していただければと思っています」

また、大地震の発生直後に大勢の人が一斉に帰宅すると、将棋倒しなどの危険や緊急車両が通行できなくなるなど救助活動の妨げになるおそれもあるといいます。

札幌市では大地震などの災害が発生した場合、「地下歩行空間」や「地下街」、「札幌エルプラザ」や「市民交流プラザ」といった公共施設など、中心部17か所を一時滞在施設として開設することにしています。

実際2月に起きた地震でも、地下歩行空間の通路わきのスペースや「市民交流プラザ」が一時滞在施設として提供され、市民や観光客が避難しました。

一時滞在施設にはそれぞれ備蓄庫があり、災害用の物資が準備されています。

(札幌市危機管理課 三好俊也 防災推進担当課長)「ここはチカホなんですけれども、備蓄はそれぞれの施設管理者が独自のものを用意しているので、ここではどんなものを用意しているかご紹介しますと、クラッカーや毛布ですね、こんなものを用意させていただいております」

一時滞在施設での滞在期間について、札幌市は最長3日間を想定しています。

このため、一時滞在施設の備蓄が足りなくなった場合は、市役所の備蓄庫から物資を搬入する予定です。

大地震などでは有効な避難場所となる都市部の地下ですが、大雨などの災害では逆に危険な場合もでてきます。

特に札幌中心部で懸念されるのが、河川の氾濫です。

これは北海道開発局が作成したシミュレーションです。

3日間で406ミリのまとまった雨が降り、豊平川の堤防が決壊した場合、市内中心部は浸水。

地下街にも濁流が流れ込むといいます。

そのほかにも、中心部で火災が起きた場合は地下に煙が充満する可能性があるなど、都市ならではのリスクもあるといいます。

そのなか、人が多い札幌中心部で注意が必要なのが、パニックが起きることによる「二次災害」です。

(札幌市危機管理課 三好俊也 防災推進担当課長)「都市における災害が起きると、やはり皆さんどうしても行動がパニック的になってしまうという部分があります。市民の皆さまの初動対応というのでしょうかね、そういうものが非常に大切になってきます。逆に都市であるからこそ、いろんな施設などが整備されているという部分もあります。その辺をうまく利用しながら、防災対策を今後もしっかりやっていきたいなと思っている次第です」

都市部で万が一のことが起きた場合、自らの身をどう守るのか。

都市ならではのリスクを知っておくことや、いざというときに冷静な対応をとることが大切です。

(2023年8月7日放送)
「どさんこワイド179」  9/4(月)19:06更新