ＳＴＶ札幌テレビ

蔦が絡みつく外壁。無秩序に脱ぎ捨てられた靴。
独特な匂いが出迎えてくれるのが「北大恵迪寮」である。

４月と言えば、新たな門出に期待に胸を膨らませる季節である。
この寮も例外ではない。今年は１８０人ほどが新たに仲間入りした。

恵迪寮はこれまでもメディアに度々露出している、ある意味有名な寮である。
にも関わらず、実際に足を踏み入れるとその独特な世界に圧倒された。
「網走刑務所がモデルになっているんですよ」張り紙だらけの寮内を案内してくれた寮長がはにかむ。共同で生活する部屋は極控えめに言って「汚い」。マージャン牌を混ぜる音が混沌さに拍車をかける。
「この世界にはじめて踏み入れる学生はどんな顔をするのだろう？」
純粋に見たく、知りたくなった。

恵迪寮と聞けば赤フン姿で寮歌を歌い、バカ騒ぎするイメージを持つ人が多い。しかし実際は伝統の赤フンは少数派。３分の２の「反対派」と３分の１の「賛成派」に分かれているのが現状だった。
衣食住すべて自分たちで管理する自治寮にとってこの問題は深刻である。
５００人の集団生活は微妙なバランスの上に成り立っていたのである。

「やれって言ってやらせてやって良くなるものでもない」
寮長の言葉には彼なりの葛藤があった。

だからこそ彼らは新入寮生に向け寮歌を歌い、赤フン姿で暴れまわる。
戸惑う新入生だが、彼らが「恵迪寮魂」を受け継ぐことに寮の未来がかかっている。
文字通り裸でぶつかり、自分たちの楽しむその姿を見せることが彼らなりの伝統の残し方なのかもしれない。