6月7日「透析患者さんの”体重管理”について」
2020年6月7日(日)
6月7日「透析患者さんの”体重管理”について」
陶:日々の透析患者さんとの関わりの中で、透析患者さんは“透析間の体重が増える”と“身体の血肉となり体重が増える”との違いを、中々理解しづらいと感じています。ドクターやスタッフに注意をされる“体重が増える”について、解りやすく説明して少しでも理解を深めて頂きたいと思い、今日はH・N・メディック北広島の管理栄養士、橋本真里子さんとお送りします。
橋:橋本真里子です。よろしくお願いします。
山:よろしくお願いします。
陶:橋本さんは理論だけでなく“結果を出す”管理栄養士です。リンの数値データが高かったり、透析の間に体重が大きく増えていた“管理の悪い患者さん”がいまして、指導してもなかなか言うことをきいてくれなかったのですが、橋本さんはこの患者さんに真摯に向き合って、「こうしないとダメなのですよ」と一生懸命伝えていきました。患者さんは管理が悪かったことで合併症が起こってしっぺ返しを食らってしまったのですが、その後心を入れ替えて橋本さんのいうことを実践するようになりました。なかなか言うことを聞いてくれない方にも我慢強くしっかりと指導する素晴らしい管理栄養士です。
山:どんなお話が聞けるか楽しみですね。
橋:今日は体重のお話をしていきたいと思います。透析患者さんは透析が無い日の過ごし方で体重が増えてしまい、先生やスタッフに注意されることがあります。注意をされた患者さんは、原因は食べ過ぎたからだと思う人が多いのですが、本当の原因は食べ過ぎではなく、“塩分のとり過ぎによる水分のとり過ぎ”かもしれません。
山:“塩分のとり過ぎによる水分のとり過ぎ”、ですか?
橋:患者さんはどうしても先生やスタッフに「体重が増えすぎだよ」と注意されてしまうと、食べ過ぎたから体重が増えてしまったのだと思って、極端に食べる量を減らしたり水分をとらないといった極端な管理を行い、体重が増えすぎないように努力する方が多くいます。食事量を減らしてしまう食べ控えや、水分をとらないというような無理な管理は結局、一時しのぎでは良くなりますが長続きはなかなかしません。また少し改善して普段通りの過ごし方をしてしまうと“リバウンド”することが多いです。注意されては食べる量や飲水量を控えて、よくなれば元の体重管理になる、といった悪循環が生じて、患者さんは努力をしているのになかなか上手くいかず、管理がなげやりになってしまうことがあります。“体重が増える”原因は食べ過ぎているだけではありません。一番の原因として考えられるのは“塩分”のとり過ぎが多いです。なぜ“塩分”が原因なのかと言うと、人は全員、透析を行っていない人でも、簡単に言うと体内の塩分の濃度を一定に保つ働きがあります。1gの塩分を摂取すると脳からの命令で口渇感を感じて約100mlの水分を摂取することで、体内の塩分濃度を保とうとします。透析患者さんは腎臓が弱っているので、摂取した余分な水分を尿としてはなかなか排出できない状態であり、ほとんど尿が出ない無尿の患者さんも多くいます。食事を取ることでももちろん体重は増えますが、それにプラスして塩分を摂りすぎてしまうと喉が渇いて水を飲んでしまうので、食事量+水分摂取量として体重が増えてしまう原因になります。
陶:人間の体は塩を取ると水を飲む、という風に出来ていてこれは調整できない、ということを理解して頂きたいです。
橋:透析で水分を引くことはできますが、一回の透析で身体に入った水分を引く量は限られているので、余分な水分が体に溜まっていくと、心臓にも負担がかかっていくので大変危険な状態になってしまいます。体重管理について患者さんが先生やスタッフからお話をされた時は、“塩分摂取量”は大丈夫か、ということを頭のすみで覚えておくことが一番大切です。体重管理のためには“塩分管理”が基本になります。患者さんの中には尿量が残っている人もいますが、無尿の人は当院では飲水量600mlを目安としてもらっていますので、改めて自分の飲水量を量ってみることも大切です。塩分摂取量を1日6~7gを目安にすると体重管理もしやすくなると思います。塩分管理では調味料の計量が基本ですが、計量するのが億劫な場合は、まずは普段使用している調味料の量を半分にしてみたり、醤油などは原液のまま使用するのではなく、水で薄めるなどの工夫をしてみることも実践するきっかけになると思います。
陶:このような具体的にこうしてみて、という指導が大事だと思っており、橋本さんはそれを実践してくれている管理栄養士です。皆さんもぜひ実践してください。
橋:当院に入院した実際の患者さんの話ですが、最初は味がしないと思っていた病院食がだんだんと食べられるようになってきた、など変化を感じた方もいます。味覚はトレーニングすることで慣れてきますので、徐々に薄味に慣れるように努力することが大切であり、継続することが大切です。減塩は生活習慣病予防の観点からも大切であるため、患者さん自身だけではなく家族みんなで薄味を心がけることができると良いと思います。
山:塩分とそれに伴う水分量に気を付けていきたいですね。自分の味覚を味方につけて、薄味に慣れることで体が喜んでくれるのですから試してみたくなりました。
陶:慣れることは味方です。来週も橋本さんにお越し頂き、「しっかり食べる」ことの意味についていろいろとお聞きしたいと思います。
山:今日は、H・N・メディックの管理栄養士、橋本真里子さんにお話を伺いました。来週もよろしくお願いします。
橋:よろしくお願いします。
橋:橋本真里子です。よろしくお願いします。
山:よろしくお願いします。
陶:橋本さんは理論だけでなく“結果を出す”管理栄養士です。リンの数値データが高かったり、透析の間に体重が大きく増えていた“管理の悪い患者さん”がいまして、指導してもなかなか言うことをきいてくれなかったのですが、橋本さんはこの患者さんに真摯に向き合って、「こうしないとダメなのですよ」と一生懸命伝えていきました。患者さんは管理が悪かったことで合併症が起こってしっぺ返しを食らってしまったのですが、その後心を入れ替えて橋本さんのいうことを実践するようになりました。なかなか言うことを聞いてくれない方にも我慢強くしっかりと指導する素晴らしい管理栄養士です。
山:どんなお話が聞けるか楽しみですね。
橋:今日は体重のお話をしていきたいと思います。透析患者さんは透析が無い日の過ごし方で体重が増えてしまい、先生やスタッフに注意されることがあります。注意をされた患者さんは、原因は食べ過ぎたからだと思う人が多いのですが、本当の原因は食べ過ぎではなく、“塩分のとり過ぎによる水分のとり過ぎ”かもしれません。
山:“塩分のとり過ぎによる水分のとり過ぎ”、ですか?
橋:患者さんはどうしても先生やスタッフに「体重が増えすぎだよ」と注意されてしまうと、食べ過ぎたから体重が増えてしまったのだと思って、極端に食べる量を減らしたり水分をとらないといった極端な管理を行い、体重が増えすぎないように努力する方が多くいます。食事量を減らしてしまう食べ控えや、水分をとらないというような無理な管理は結局、一時しのぎでは良くなりますが長続きはなかなかしません。また少し改善して普段通りの過ごし方をしてしまうと“リバウンド”することが多いです。注意されては食べる量や飲水量を控えて、よくなれば元の体重管理になる、といった悪循環が生じて、患者さんは努力をしているのになかなか上手くいかず、管理がなげやりになってしまうことがあります。“体重が増える”原因は食べ過ぎているだけではありません。一番の原因として考えられるのは“塩分”のとり過ぎが多いです。なぜ“塩分”が原因なのかと言うと、人は全員、透析を行っていない人でも、簡単に言うと体内の塩分の濃度を一定に保つ働きがあります。1gの塩分を摂取すると脳からの命令で口渇感を感じて約100mlの水分を摂取することで、体内の塩分濃度を保とうとします。透析患者さんは腎臓が弱っているので、摂取した余分な水分を尿としてはなかなか排出できない状態であり、ほとんど尿が出ない無尿の患者さんも多くいます。食事を取ることでももちろん体重は増えますが、それにプラスして塩分を摂りすぎてしまうと喉が渇いて水を飲んでしまうので、食事量+水分摂取量として体重が増えてしまう原因になります。
陶:人間の体は塩を取ると水を飲む、という風に出来ていてこれは調整できない、ということを理解して頂きたいです。
橋:透析で水分を引くことはできますが、一回の透析で身体に入った水分を引く量は限られているので、余分な水分が体に溜まっていくと、心臓にも負担がかかっていくので大変危険な状態になってしまいます。体重管理について患者さんが先生やスタッフからお話をされた時は、“塩分摂取量”は大丈夫か、ということを頭のすみで覚えておくことが一番大切です。体重管理のためには“塩分管理”が基本になります。患者さんの中には尿量が残っている人もいますが、無尿の人は当院では飲水量600mlを目安としてもらっていますので、改めて自分の飲水量を量ってみることも大切です。塩分摂取量を1日6~7gを目安にすると体重管理もしやすくなると思います。塩分管理では調味料の計量が基本ですが、計量するのが億劫な場合は、まずは普段使用している調味料の量を半分にしてみたり、醤油などは原液のまま使用するのではなく、水で薄めるなどの工夫をしてみることも実践するきっかけになると思います。
陶:このような具体的にこうしてみて、という指導が大事だと思っており、橋本さんはそれを実践してくれている管理栄養士です。皆さんもぜひ実践してください。
橋:当院に入院した実際の患者さんの話ですが、最初は味がしないと思っていた病院食がだんだんと食べられるようになってきた、など変化を感じた方もいます。味覚はトレーニングすることで慣れてきますので、徐々に薄味に慣れるように努力することが大切であり、継続することが大切です。減塩は生活習慣病予防の観点からも大切であるため、患者さん自身だけではなく家族みんなで薄味を心がけることができると良いと思います。
山:塩分とそれに伴う水分量に気を付けていきたいですね。自分の味覚を味方につけて、薄味に慣れることで体が喜んでくれるのですから試してみたくなりました。
陶:慣れることは味方です。来週も橋本さんにお越し頂き、「しっかり食べる」ことの意味についていろいろとお聞きしたいと思います。
山:今日は、H・N・メディックの管理栄養士、橋本真里子さんにお話を伺いました。来週もよろしくお願いします。
橋:よろしくお願いします。