4月26日(日)「医療にまつわる制度のはなし 障害福祉編」
2020年4月26日(日)
「医療にまつわる制度のはなし 障害福祉編」
陶:前々回は「医療保険」の話、前回は「限度額認定証」についてお伺いしました。今日は、治部さんに「障害福祉」についてお話していただきます。
治:まず障害者は、身体障害者、知的障害者、精神障害者の区分に分かれます。透析を受けている方は「身体障害者」にあたるため、身体障害者手帳についてまずお話したいと思います。身体障害者は「視覚障害」「聴覚障害」「平衡機能障害」「音声・言語・そしゃく機能障害」「肢体不自由」「内部障害」に分けられます。透析を受けている人は身体障害者の内部障害にあたり、1種1級か3級の交付になります。ただし自分自身で申請するものですので、透析をしていても申請して認定されなければ身体障害者とはなりません。申請して認定をされた人は、身体障害者手帳が交付されます。身体障害者手帳が交付されると、各種の障害福祉サービスをうけることができます。
山:サービスを受けるためには申請と認定が必要ですね。
治:透析を受けている方は様々な病気がもとで透析を受けることになったと思います。例えば「糖尿病」がもとで腎臓が悪くなり、透析を受けると申請と認定を経て「内部障害」で身体障害者手帳が交付されます。その後糖尿病性網膜症のために失明してしまったとします。「もう透析(内部障害)で身体障害者手帳の交付を受けているからいい」と思うかもしれませんが、新たに申請を行ってください。なぜなら、今の例えでいうと透析は「内部障害」であり、糖尿病性網膜症での失明は「視覚障害」になります。二つの障害があっても、交付されている手帳は「内部障害」だけになるため、障害福祉サービスにある「視覚障害」のサービスを受けることができないからです。
陶:「視覚障害」「聴覚障害」「平衡機能障害」「音声・言語・そしゃく機能障害」「肢体不自由」「内部障害」の6つの傷害それぞれに違うサービスが用意されていることを知らなければ、もう一つを申請しようとは思わないですよね。
治:「障害者はみんな一緒」ではありません。「1種1級」が最高等級というものでもなく、「視覚障害」「聴覚障害」「肢体不自由」「内部障害」それぞれが、それぞれにあった支援になるため、それぞれの申請が必要になります。
山:今現在の自分に合った支援を都度受けられるようになっているのですね。
治:次は自立支援医療ついてお話します。自立支援医療を簡単に話すと「本人が支払う透析治療の医療費の一部を国が負担してくれる」というものです。
山:国が負担してくれるのですか?
治:自立支援医療は更生医療、育成医療、精神通院医療と3つに分かれますが、 透析を受けている人は更生医療にあたります。更生医療を使うには、身体障害者手帳の交付が必要となり、身体障害者手帳がなければ利用することができません。また更生医療は、医療費の一部を国が出してくれるもので、世帯所得によって自己負担金額は違います。注意点は、自立支援医療の「世帯」とは「同じ保険に加入していること」をいいます。同じ家に住んでいても加入している保険が違うと「違う世帯」となります。さらに「その人がひと月に支払う金額」となりますので、同じ月に二つの病院で透析を行っても、どちらかの病院で限度額を支払っていたら、二つ目の病院では支払う必要はありません。
陶:これは難しい。その都度相談員に相談ですね。
治:最後に、各市町村独自で行っている、「重度心身障害者医療助成」についてお話します。透析を受けている人は身体障害者手帳の1種1級、3級をお持ちの方が多いです。そうなると、市町村で行っている「重度心身障害者医療助成」の対象 となります。これは「住んでいる町で、自己負担の一部を支払ってくれる」というものです。自治体により対象者や費用負担が異なります。これも自動的に発行されるものではないので、申請が必要です。
山:こちらも申請が必要ですね。市町村独自で行っている助成があるのは驚きです。どんな制度があるのか事前に聞いてみることが大切ですね。
治:この重度心身障害者医療助成の申請をして「重度心身障害者医療受給者証」 が発行されると、自己負担額が軽減されます。ここでいう「世帯」は自立支援医療とは違い、「生計を共にしていること」を世帯と言います。加入している保険が違っていても、同じ家に住んでいる人を「世帯」とみなされます。
陶:医療保険にある特定疾病療養受療証、障害福祉サービスにある自立支援医療、市町村助成である重度心身障害者医療助成、と複数の制度が「透析医療」を支えているのです。
治:社会資源はあるだけでは使えません。そして、社会資源とは「もの」だけではありません。「人」も社会資源の一つです。せっかくある社会資源は、コーディネートする人がいないと使えないのも事実ですので、気になることがあれば一人で抱え込まず、誰かに必ず話すことがとても重要になります。
陶:そのために医療相談員がいますのでぜひお聞きください。
山:3回に渡り、医療にまつわる制度の話、医療保険や障害福祉について、H.Nメディック医療相談室相談員の治部美恵子さんに伺いました。
治:まず障害者は、身体障害者、知的障害者、精神障害者の区分に分かれます。透析を受けている方は「身体障害者」にあたるため、身体障害者手帳についてまずお話したいと思います。身体障害者は「視覚障害」「聴覚障害」「平衡機能障害」「音声・言語・そしゃく機能障害」「肢体不自由」「内部障害」に分けられます。透析を受けている人は身体障害者の内部障害にあたり、1種1級か3級の交付になります。ただし自分自身で申請するものですので、透析をしていても申請して認定されなければ身体障害者とはなりません。申請して認定をされた人は、身体障害者手帳が交付されます。身体障害者手帳が交付されると、各種の障害福祉サービスをうけることができます。
山:サービスを受けるためには申請と認定が必要ですね。
治:透析を受けている方は様々な病気がもとで透析を受けることになったと思います。例えば「糖尿病」がもとで腎臓が悪くなり、透析を受けると申請と認定を経て「内部障害」で身体障害者手帳が交付されます。その後糖尿病性網膜症のために失明してしまったとします。「もう透析(内部障害)で身体障害者手帳の交付を受けているからいい」と思うかもしれませんが、新たに申請を行ってください。なぜなら、今の例えでいうと透析は「内部障害」であり、糖尿病性網膜症での失明は「視覚障害」になります。二つの障害があっても、交付されている手帳は「内部障害」だけになるため、障害福祉サービスにある「視覚障害」のサービスを受けることができないからです。
陶:「視覚障害」「聴覚障害」「平衡機能障害」「音声・言語・そしゃく機能障害」「肢体不自由」「内部障害」の6つの傷害それぞれに違うサービスが用意されていることを知らなければ、もう一つを申請しようとは思わないですよね。
治:「障害者はみんな一緒」ではありません。「1種1級」が最高等級というものでもなく、「視覚障害」「聴覚障害」「肢体不自由」「内部障害」それぞれが、それぞれにあった支援になるため、それぞれの申請が必要になります。
山:今現在の自分に合った支援を都度受けられるようになっているのですね。
治:次は自立支援医療ついてお話します。自立支援医療を簡単に話すと「本人が支払う透析治療の医療費の一部を国が負担してくれる」というものです。
山:国が負担してくれるのですか?
治:自立支援医療は更生医療、育成医療、精神通院医療と3つに分かれますが、 透析を受けている人は更生医療にあたります。更生医療を使うには、身体障害者手帳の交付が必要となり、身体障害者手帳がなければ利用することができません。また更生医療は、医療費の一部を国が出してくれるもので、世帯所得によって自己負担金額は違います。注意点は、自立支援医療の「世帯」とは「同じ保険に加入していること」をいいます。同じ家に住んでいても加入している保険が違うと「違う世帯」となります。さらに「その人がひと月に支払う金額」となりますので、同じ月に二つの病院で透析を行っても、どちらかの病院で限度額を支払っていたら、二つ目の病院では支払う必要はありません。
陶:これは難しい。その都度相談員に相談ですね。
治:最後に、各市町村独自で行っている、「重度心身障害者医療助成」についてお話します。透析を受けている人は身体障害者手帳の1種1級、3級をお持ちの方が多いです。そうなると、市町村で行っている「重度心身障害者医療助成」の対象 となります。これは「住んでいる町で、自己負担の一部を支払ってくれる」というものです。自治体により対象者や費用負担が異なります。これも自動的に発行されるものではないので、申請が必要です。
山:こちらも申請が必要ですね。市町村独自で行っている助成があるのは驚きです。どんな制度があるのか事前に聞いてみることが大切ですね。
治:この重度心身障害者医療助成の申請をして「重度心身障害者医療受給者証」 が発行されると、自己負担額が軽減されます。ここでいう「世帯」は自立支援医療とは違い、「生計を共にしていること」を世帯と言います。加入している保険が違っていても、同じ家に住んでいる人を「世帯」とみなされます。
陶:医療保険にある特定疾病療養受療証、障害福祉サービスにある自立支援医療、市町村助成である重度心身障害者医療助成、と複数の制度が「透析医療」を支えているのです。
治:社会資源はあるだけでは使えません。そして、社会資源とは「もの」だけではありません。「人」も社会資源の一つです。せっかくある社会資源は、コーディネートする人がいないと使えないのも事実ですので、気になることがあれば一人で抱え込まず、誰かに必ず話すことがとても重要になります。
陶:そのために医療相談員がいますのでぜひお聞きください。
山:3回に渡り、医療にまつわる制度の話、医療保険や障害福祉について、H.Nメディック医療相談室相談員の治部美恵子さんに伺いました。