Dr.トーコのラジオ診療室

4月12日(日)「医療にまつわる制度のはなし 医療保険編PART1」

2020年4月12日(日)

「医療にまつわる制度のはなし 医療保険編PART1」

  • 陶子先生・治部さん・山本さん
「医療にまつわる制度のはなし」と題して、今週から3回にわたって医療法人社団H.N.メディックの医療相談室、治部(じぶ)美恵子さんにお越し頂きお話をお伺いします。

陶:「医療保険」という言葉を聞いて「なんのこと」か、わかりますか?
山:病院にかかった時に、費用を何割か負担してくれる制度ですか?
治:はい。簡単にいうと、私たちが持っている保険証のことです!保険証にはいくつかの種類があり、それらをまとめて「医療保険」といいますが、「医療保険」はもっと大きい枠、社会保障制度の中の「社会保険」の枠の中にあるものです。「社会保険」には、「年金保険」「雇用保険」「労災保険」「介護保険」もあります。
「社会保険」の働き方を簡単に話すと「保険料が中心になっているもの」のことです。何かあったら普段お金を納めているところからうけられるものがある、ということです。

陶:同僚とよく話しますが、「医療保険」って社会の壮大な互助会制度だと思います。「年金保険」「雇用保険」「労災保険」「介護保険」、介護保険は年齢によって支払わなくてもいい方もいますが、お仕事されている方は、言われてみればみなさん毎月支払っているものばかりですよね!
治:その「社会保険」の中の一つの「医療保険」。みなさんが多く受けているのが、病院にかかった時の保険給付です。1-3割分を病院窓口に支払い、7割分は加入している「保険者」が支払っています。この医療保険制度がなければ、みなさんは病院にかかった時、10割負担になってしまいます。
山:10割負担になると、なかなか気軽に見てもらおうとは思えなくなりますね。

陶:「保険者」という言葉が出ましたが、誰が「保険者」になりますか?
治:簡単に言うと、お金を貯めている所です。「医療保険」はおおきく3つに分けられています。75歳未満でサラリーマン等が加入する「被用者保険」、農家の方や自営業の方が多く加入している「国民健康保険」、75歳以上の方もしくは、65歳以上75歳未満の一定の障害認定を受けた人が 加入する「後期高齢者医療」です。高齢者の方の保険に関しては色々と変わって、現在の「後期高齢者医療制度」に なったのは、平成20年からと実は意外と最近のものです。
山:10年ほど前のことですね。
治:これらいずれかの保険に加入し、病院にかかった時に窓口で自己負担として1-3割の支払をします。残りの7-9割はその加入している「保険者」が支払ってくれているのが、「医療保険」の一番の働きです。

陶:透析をされている方は身体障害者手帳の交付を受ける方が多くいますが、身体障害者手帳を持っていて65歳以上だと「後期高齢者医療保険」に加入することができます。
山:「後期高齢者医療保険」は、どういった特徴のある保険ですか?
治:一般的には75歳以上の方が加入します。65歳でお仕事をしている人は被用者保険に加入していることが多いので、病院窓口で支払う金額は3割となりますが、「後期高齢者医療保険」に加入すると、自己負担金は1割になります。2割分自己負担額が安くなります。しかしこれは65歳になったら自動的になるものではなく、あくまでも自分の考えに基づく申請になります。

陶:この医療保険はそれだけではないですよね!!
治:「特定疾病療養受療証」というものがありますが、透析治療には最も大切なものです。内容を簡単にお話すると「厚生労働大臣が認めた病気の中に透析治療があり、高額医療費制度をうけられる」ということです。
陶:透析という医療が世の中に出始めたときに、すごくお金がかかり過ぎて自己負担が大きく、社会的に不幸になった方々がいて、それを受けてできた制度と聞いたことがあります。
治:被用者保険に加入している人は勤めている会社へ「市町村国民健康保険」に加入している人と「後期高齢者医療保険」の方は、住んでいる市役所や区役所へ手続きをしてください。交付されると、1病院あたり月額上限1万円、高所得者は2万円の自己負担となります。この手続きをせずに透析治療をはじめると、ひと月10万円以上の自己負担となります。
山:制度を知ることは本当に大切ですね。そして相談することで気持ちが楽になり、病気と向き合うための大きな力になってくれますね。

陶:まだまだ、「医療保険」にはお得な働きがありますが、それは次回また治部さんにお話ししていただきます。
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