父親「意識の低さに怒り」 運転手ら2人起訴も…所有者の過失運転致傷は不起訴 タイヤ脱落事故
痛ましい事故からまもなく1年。
2023年11月、札幌市西区平和で走行中の軽乗用車のタイヤが脱落して歩道にいた当時4歳の女の子に直撃した事故で、女の子はいまも意識不明の重体です。
札幌地検は23日、軽乗用車を運転していた若本豊嗣被告(50)を、過失運転致傷と道路運送車両法違反の罪で起訴しました。
起訴状などによりますと、不正改造をして車両の点検を怠った結果、ナットの緩みに気付かないまま運転をし、女の子にけがをさせたとされています。
2つの罪に問われた若本被告。
23日午前、初めてSTVの取材に応じました。
(若本豊嗣被告)「被害にあった女の子のことを1番に思っている。申し訳ないと思っている。直接謝りたいと思っていたが、弁護士から止められている。弁護士から許可が出たら、謝りにいきたい。意識が戻ってほしい」
涙ながらにこう話した若本被告。
これまでの取材で、事故を起こした車は若本被告の名義ではなく、所有者が不具合を感じて車を預けていました。
車の所有者に対してはー
(若本豊嗣被告)「所有者は反省の意がない。所有者からはどこがどうおかしいかは言われていなかった、音がするくらいでしか。確認してもおかしいところはなかった。それで、400メートルくらい走ったら、ああなってしまった」
札幌地検は23日、車の所有者だった田中正満被告(50)についても、道路運送車両法違反の罪で起訴しました。
警察は当初、田中被告を車を運転していないにも関わらず、極めて異例の過失運転致傷の疑いで逮捕していましたが、札幌地検はその罪については不起訴処分としました。
不起訴の理由は明らかにしていません。
この処分について専門家はー
(上原総合法律事務所 元検事 上原幹男弁護士)「車を走らせる場合には、整備がなされていることを確認してから運転する必要があるが、所有者の認識において脱輪する可能性に気付けなかった可能性もあると思う。そうなると、所有者が公道を走った車による責任まで負わなくなるという可能性があります」
一方、この起訴を受け被害にあった女の子の父親がいまの心境を寄せました。
(女の子の父親)「今回の起訴で「事故がようやく進む」という風に考えています。逆に加害者が社会の中で普通に生活しているという事実に、強い苛立ちを感じています。私たちの家族を心理的にも経済的にもここまで壊した人間が、同じ社会で生活していることが恐ろしくもあります。所有者に対して、事故後も自動車の整備業に携わっている様子が映像からうかがえた。当事者としての意識の低さに対する怒りが抑えられません」
父親は、田中被告が過失運転致傷で不起訴になったことについて、今後、検察審査会への申し立てを検討しているということです。